おじいさんの話

ヴィレッジ・トラストつくだ農園

2009年10月10日 15:06


そのおじいさんは2歳の頃からタバコをのみ始めたのです。
好物は、牛の糞でした。
しかし、何よりおいしかったのはマッチの頭についている火薬でした。
火薬を食べては芯を吐き出し、見る間に一箱も二箱も空いたそうです。

だれもおじいさんをしかりませんでした。
したいようにさせてくれた、おじいさんはそういいました。

また、おじいさんはたくさんのヘビを捕まえました。
ヘビは子どもの頃のおじいさんを見ても逃げなかったそうです。
だから簡単にとることができました。
体を這わせると、うろこがひんやりしていました。

早くに亡くなると思われていたおじいさんは成長し、
働き者になって、やがて体を患いました。
そして18年前に肺がんになりました。
おじいさんに手術を勧める若いお医者さんに、おじいさんはこう言いました。

せっかく私の体に宿ってくれた癌を、私は大切に育てます。

そしていま、おじいさんは元気に車に乗ったり、旅行に行ったり、
山に入ったり、木を切って炭を焼いたりしています。


まるでいしいしんじの小説みたいなお話を昨日、
薪ストーブの温かい素敵なお家にお邪魔して聞かせてもらいました。
そのうちの家主ご夫婦と、私たちと、友人たちとでおじいさんを囲んで。

私はお酒をたくさん飲んで酔っぱらい、おいしいごはんをたらふく食べました。
みんな、自由にのんだり食べたりしゃべったりしていました。

今目の前にいるおじいさんの、やさしくて小さな体にそんな物語があったなんて。
受け入れて、放り出して、どこまでもやさしいおじいさん。

すごいなーと、口々に言ってみんなで話を聞きました。


帰る時、月がきれいでみんなで見とれました。
大原は、気温10度の寒い夜でした。


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